債務（借金）整理入門

債権者から開示を受けた取引履歴を法定利息で再計算（引き直し計算）をした結果、既に債務（借金）はなく、逆に利息の払い過ぎ（過払い金）の状態になっている場合は、その全額を返還して貰えるように弁護士・司法書士が粘り強く交渉していく手続きです。

しかしながら、４～５年前であれば、交渉により全額を返還してきた債権者もあったが、現在ではどんなに交渉を続けても全額の返還に応じる債権者は殆どありません。

その為、実際の過払い金額と債権者が返還に応じる過払い金額とが大きく違ってしまう場合で、訴訟（裁判）の費用を考慮しても、訴訟（裁判）をした方が依頼人の利益になると思われる場合は、依頼者の意思を確認した上で、訴訟（裁判）をおこし過払い金を回収する場合もあります。

取引履歴を法定利息で再計算（引き直し計算）しても債務（借金）が残る場合に、弁護士や司法書士が裁判所を通さずに、債権者（貸金業者、クレジット会社等）と直接話し合いをして、依頼者の今後の利息をカットして貰ったり、毎月の支払額を依頼者が確実に支払う事ができる額に下げて貰ったりして、依頼者が安心して残りの債務（借金）の支払いをしていけるようにする手続きです。

通常は、今後の利息を一切カットして貰い、借入元金のみを３年～５年（３６回払い～６０回払い）の分割払いで支払うように債権者（貸金業者、クレジット会社等）と交渉していきますが、あくまでも話し合いですので、債権者が同意しなければ交渉はまとまりません。最近はなかなか利息のカットに応じて貰えないケースも増えており、粘り強く交渉していく形となってきています。

安定した収入はあるが、借金の金額が多く、利息をカットして貰ったり、毎月の支払額を債権者に下げて貰っても、とても３年～５年では借金を払いきれない（任意整理ができない）という場合や、住宅ローンを組んでマイホームを購入したが、マイホームは絶対に手放したくないという場合に使われる方法です。

借金の金額が５０００万円以下（住宅ローンを除く）の場合しか利用できませんが、一定の要件を満たせば、返済しなければならない金額を借金の総額の５分の１～１０分の１程度まで減らせる可能性があります。

またこの後ご説明します自己破産手続きの場合、基本的にマイホームをお持ちの場合手放さなくてはならなくなりますが、個人再生手続きの場合は、マイホームを残しつつ住宅ローン以外の借金の返済額を減額できる可能性があるというメリットもあります。

上記の３つの手続き（過払い金返還請求、任意整理、個人再生）を検討しても、とても借金の返済ができそうもないという場合の最後の手段です。

裁判所に申し立てをして、借金の返済ができない事を裁判所に認めて貰い、自分の持っている自宅や財産的な価値のあるものを処分して返済に充てた上で、財産を処分しても返済できない借金については全て免除して貰い人生の再出発を図る手続きです。